私の大学受験が終わり、4月のガイダンスのことです。そのころは受験が終わったという解放感はまだなく、もう一度東大への受験をしてみようかなと頭の片隅にあったころです。

   ガイダンスにでると、慶応の理工学部の教授が最初に話された言葉は、“皆さんの中には、不本意ながら、この大学の門をくぐった人もいるかと思います。ただ卒業する時には、その卒業証明書に値する実力をつけて社会に送り出します。どうか信じてついてきてほしい。”

   この謙虚で暖かい言葉に、全て吹っ切れて、他の大学へ行こうとは思わず、一歩踏み出すことができました。

   その時も、また今でも振り返ると、とても有難いメッセージでした。

   当然ながら、在学中は大学との強いつながりはありますが、卒業後も公私にわたり慶応義塾大学とはつながりあり、若い頃は想像すらできなかった、ご縁というものがあるのだな、と感慨深いものがあります。

   私は卒業後に、医療機器メーカーに勤め、長い間CTスキャナーの開発を行ってきました。新製品を世に出す前のシステム評価や、共同研究先が慶応病院でした。新人研修で、用件で大学病院に行き、その大学がたとえ母校であっても先生方とは馴れ馴れしくしないようにと教育されたため、入社当初は私が慶応出身であるということは伏せていました。10年以上経ったある時、同僚が打合せの時に慶応大学の先生方に私の出身校が慶応であることを伝え、そこから、先生方が親近感を覚えていただき色々とお話をする機会が増えました。

   子供が医学部を受験したいと言い出した時に、ご相談にのって頂いたのは現在の慶應義塾大学医学部の先生でした。

   先生とは高分解能CTの共同研究の時に初めてお会いし、実験結果がどうしてそうなるかといったディスカッションを夜遅くまでしました。医学とは異なる理工学の分野を長時間集中されて奥深くまで理解していく姿勢は非常に驚かされたことは今でも強く覚えています。そんな先生が教授になられる2年ほど前の春先に、昼食をご一緒した際、子供の受験で相談にのって頂きました。医学部受験では受験科目の理科で生物を取らずに物理化学で問題ないかとか、医局などについて、お話をお伺いました。先生が医師になられた当時の事など非常に興味深く面白い話も聞くことができました。また、息子さんには是非慶応に来て欲しいと、熱く語っていただいたことは、今思い返しても、非常に嬉しいことでした。子供が慶応大学医学部に合格したことをメールですぐに連絡した際も、とても暖かいメッセージを頂き、とても嬉しい思いをしました。

   昨年末に、会社を辞めて教える方向に進むのでご挨拶させてほしいとお願いした所、快く承諾していただき、非常にお忙しい中時間を割いていただきました。その時に、今年の4月に大きな医学学会で、大会長をされるということで、海外からこういう方々を呼ぶので、内容的にも貫井さんが興味を引きそうな講演があるから是非来てくださいとおっしゃっていただき、とても嬉しかったです。その学会に参加させていただいた翌日に、慶光アカデミーを開校しました。

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大学入学直後の教授の言葉、そしてご縁【1】” に対して1件のコメントがあります。

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