ある日、会社の方とひょんな話から絵画の話になりました。
私は絵を見るのは好きで、気が向いたとき、美術館に行く程度なのですが、その女性の方は私よりも頻度多く美術館に行っているようでした。
その方と話をして、なるほどそういった考えもあるのだということを思い出したので、ご紹介します。
あるとき、世界的に有名な人が描かれた絵の展示会が開かれているというので、どんなものかなぁと期待をしながら、その展示会に行きました。
100点近くある絵が飾られていて、美術の教科書に載っているような絵がいくつもありました。
写真などで見るよりも、実際に絵を見る方が感動すると思っていたのですが、このときはあまり感動も覚えず、こんなものかなぁと思っているうちに、もう出口に近づいてきています。
もう終わりかなぁと思った瞬間に、1枚の絵に釘付けになりました。
その絵は、その有名な人が描かれたものではなく、別な方が描かれたものでした。
あの有名なピカソが13歳の頃に描いた絵でした。
タイトル名は忘れましたが、年老いた漁夫が遠くをボーっと見ている絵です。
何かを意識して見ている目ではなく、心ここにあらずという目です。
しわの深さ、日に焼けた肌、その人の目から、その人の人生がひしひしと伝わってくる絵です。
凄い!のひとことです。
あまりの衝撃で、しばらくそこから離れることができませんでした。
ピカソというと、凡人には理解できない絵を描く人というイメージでしたが、その絵を見たときは、やはり天才なのだな、その片鱗はこんなに若い時からあったのだなと思いました。
この話を先ほどの会社の女性にすると、
「そうですよ。全ての絵を期待してはダメですよ。1つや2つ、自分にとっていいものあれば、ラッキーと思わないと。全くない場合もありますし。」
と言われました。
有名ということだけで期待が大きくしてしまい、多くを期待しがちですが、確かに、1つでも自分にとっていいものが見つかれば、それで心が満たされると思います。
数ではない、心の持ちようだなと、勉強になったティータイムでした。