私の「教えたい」という動機はとてもシンプルで、依頼を受けて大学受験を控えた学生の方を教えたのですが、その学生の方がとても喜んで頂いたことです。
2人の学生の方を異なる年に物理を教えたのですが、一人の方は物理まで手が回らないということで高校生の夏休み期間中に教えて、地頭がよかったのだと思いますが、予備校の模試が偏差値40台から一気に60台に上がりとても喜ばれ、もう一人の方は病気をして受験に出遅れしまい、それを挽回したいということで依頼を受けたのですが、最初の講義で“光が見えた。”と喜んで頂きその後は着実に成績を伸ばされていきました。
その時の喜ばれている時の瞳の輝きがとても印象的で、こちらもとても嬉しい気持ちになったことを覚えています。
後で親御さんから聞いた話ですが、今まで予備校や塾での教え方とは異なり独特で、とても分かりやすいと話されていたようです。私の方は、何が独特だったのかわからないのですが。ただ、一つ言えることは、私も大学受験ではとても苦労したので、どういったポイントをおさえるとスムーズに理解でき問題が解けるようになるかを経験したからだと思います。
更に、この教える、伝えるということは、社会人での経験が、私にとっていい影響を与えてくれたと思っています。CTという医療機器開発を行っているのですが、その新しい技術を大学の医学部の先生方に説明する際、専門用語を多用しても理解が深まるわけでもないので、いかに平易な言葉、平易な例を使い、何が根っこにある重要なポイントであるかを意識しながら説明をしました。医学部教授でいらっしゃる先生には、“貫井さんの説明はいつも分かりやすいですね”とお褒めの言葉を頂いたことを覚えています。
もう一つ、付け加えるとすると、次のような経験があります。私が高校に上がった時に高校で習う数学が、中学の数学とはかなり異なり非常に苦労した経験があります。高校2年生の時、教えて頂いた数学の先生のおかげで、何とか数学が復活することができました。その先生は、教科書にあるところを一から十まですべて説明するのではなく、ポイントを絞り重要な箇所を重点的に教えていらっしゃいました。先に挙げた依頼を受けて教えたお二方や、また会社に了承を得て休日に少人数制の予備校で数学を教えた経験もあるのですが、その時に学生の方の学校で使用する教材を見させていただいたのですが、量も多くわかりづらくて、これをすべて書かれてある通りに理解するのは、かなり大変だなという印象を持ちました。
これらの経験が、学生の方へ貢献できるのではないかと思ったことが、もう一つの動機です。