子供が医学部に入る少し前の事です。
慶応医学部のある先生が、“もう少しCTを知りたいので教えていただけませんか。会社の近くの病院に来年から医師としていきますので、夜お時間のある時に伺っていいですか。”と、とても丁寧に言われ、大変恐縮したことを覚えています。その勉強会が終わった後に、親族のちょっとした症状をお話ししたら、是非慶応大学病院にいらしてください。適切な科を紹介しますのでと言われ、ご厚意に甘えて慶応病院に伺い、診察が進むと、その分野での世界的に有名な先生に診て頂けることになりました。
とても親切に対応していただき、国内外の先生方とも連絡をとり同じような症例があるか調べていただき、緊急性はない事が分かりとても感謝しています。今までよく分からなかったことが、この先生とお会いして、解明されました。CTの勉強会から始まったこの一連の流れは衝撃的で、人と人とのつながりが短距離のリレーのように次から次へとバントが渡されていくような感じがし、事が動く時はこのようにスムーズに動くのかと感動もしました。“色々な病院に行きましたが分からなかったのです。すごいですね”と先生に話すと、データが多く集まっているので分かったのですよと、謙虚に対応され、頭が下がる思いでした。
今度は医学部ではなく、理工学部のお話です。
CTを開発している時に、慶応大学理工学部の学生がインターンで来ました。慶応ということで話していると、彼の研究室の教授が、同じ学科の同期である事が分かりました。こんな偶然あるのだなと。。。 その研修室の飲み会があるということで、その学生に誘われて久しぶりに日吉に行き、懐かしい先生も来られていて学生に戻った錯覚すら覚える、楽しい時間でした。
彼とは、それっきりかと思っていたのですが、3年後、彼が理工学部長になった時、産学連携共同研究を理工学部、医学部、私が所属していた会社で行うことになり、その立ち上げやその後の研究のレビュー等に携わり、まさか彼と一緒に仕事をするとは思ってもみなかったです。学生時代の頃には、このような事が起きるとは全く想像などできませんでした。更に3年後、彼は現在の慶応義塾大学の学長の職に就かれました。すごいと思うと同時に同期の誇りです。
他にも不思議なご縁がありましたが、これも、大学入学時に教授の一言が、変に執着せず、前向きにして頂いたことが一つ大きかったのだと思います。