以前、本屋さんでちょっと気になる本が目に留まり、手にしました。目を通して、もう少ししっかり読もうと購入。加藤諦三さん著の“自分に気が付く心理学”という本です。
幼少期の親子関係などが性格、行動パターン、価値観の形成に大きく影響を及ぼすことは、容易に想像できるのですが、この本を読み進めていくと、自分の行動パターンの根っこにあるものや、自分がこれまで正しいと思ってきた価値観や判断基準を疑うきっかけを与えてくれます。
この本では、“子供の本質はわがまま”で、幼少期にそのわがままを許されないで育つと、反動形成により、成人になった時にどのような状況になるのかを、平易な文章で書かれています。例えば、
- 幼少期に過度な期待を受けると、周囲の人が自分に期待していると思い、期待にこたえないといけないと思ってしまう。
- 幼少期に理解されないと、理解されないと思いことさらに自分のことを訴えてしまう。
- 幼少期に甘えることができないと、いつも他人に対して気がねし、対人関係に安心感がないため、生真面目になってしまう。
こういった幾つもの例を、甘えを許さらなかったとき、子供にどのような気持ちを抱かせ、ロジカルに心の内ではどのような処理をさせ、どのような行動をさせていくかを具体的に述べています。そういった一連のプロセスの中で、どのような人間、どのようなこだわりを持つ人間ができあがっていくかわかりやすく述べられています。
世代にもよると思いますが、私の小さいころは、親や先生が厳しいというものがごくこく普通な時代でした。その事がよい側面もあったと思います。ただ、この本を読んでいると、そのことがやや過度に働くと、色々なことに影響を与え生きづらさを生じさせているのではと、感じずにはいられません。
自分を深く見つめることは、自分の人生そのものを見つめることにつながり、いいのではないかと思ったりします。
自分の根底にあるもの、無意識のレベルにあるとでもいうべきものでしょうか、それを見つめるという作業は、ある意味、自分の今までの価値観などを否定する、見直すことも行うので、非常にもやもや(あるいは、むかむか)するような気持ちを引き起こすのも事実です。
その時生じるネガティブな感情をどう処理するかも大切だと思います。この感情を少しでも和らげるために、思考中心から自分の感情を大切にしては、と語っている石原加受子さん著の“つい悩んでしまうがなくなるコツ”もお勧めです。マイナスの感情の処理の仕方も語っています。そういえば、千日回峰を2度も成し遂げられた和尚さん酒井雄哉さんも、“かしこばかにはなっちゃいけないよ”という本を書かれていました。
ふと思うのですが、こういったことは、自分だけでなく、次の世代、子供にも強く影響を与えているのではと思うのです。世代間連鎖とでもいうものでしょうか。
自分が大人になり親になった時、自分が子供の頃の育てられ方を思い出し、育て方のこの部分は違うのではないかと意識レベルで認識できることは、容易に修正を行うと思いますし、できると思うのです。しかし、無意識のレベルで影響してしまっていることは、なかなか気が付かないものです。
もし、運よく気が付いた時は、少しでも子供の心の荷を軽くし、ちょっとでも良い方向にと考え、こうすればよかったかなと、子供に伝え、あるいは行動をとり、修正などできたらいいなと思っています。