色々な解き方・考え方[10]:虚数・複素数平面入門 ― いつ習う?原点からの距離としての絶対値
高校数学で複素数平面はいつ、何を学ぶ?
現行の教育課程では、数Ⅱで複素数を習い、数Cで複素数平面を習います。それ以前の課程では、数Cという科目自体がなく、複素数平面は数Ⅲに含まれていました。
このような経緯から、複素数は高1の後半から高2の前半、複素数平面は高2の終盤から高3の前半に習うことが多いのではないでしょうか。
私自身の高校時代には、数Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの分類だけで、複素数は高2あたりで習った記憶があります。ただし、私が高校生の時には複素数平面を習った記憶はなく、複素数はa+bi と表される「実数と虚数(imaginary number)を組み合わせた数」で、
\( \qquad \qquad i^{2}=-1, i=\sqrt{-1} \)という性質を扱う、今の数Ⅱレベルの内容でした。
今の高校生は、2次元座標の複素数平面を学ぶことになっており、「このようなことを高校数学でやるのか」と驚かされました。
前職では、CT技術部でCT画像再構成のアルゴリズム開発を行っていました。CT画像再構成では、フーリエ変換という数学的知識を利用して画像を生成しますが、その際の中間データは実部(実数軸)と虚部(虚数軸)で構成される複素数平面上のデータです。そのような知識があったため、複素数平面に対してさほど拒否反応はなく、塾を始める前に一通り問題を解き、全体像を調べたことがあります。
このコラムで扱う 3 つのポイント
その時に受けた印象は、次の3つのポイントに集約されました。
1. 絶対値の再認識
2. 単なる座標の問題と置き換えられる:積が回転を意味する
3. ド・モアブルの定理:新しい知識

今回は、「1. 絶対値の再認識」について述べます。
絶対値 の再認識
座標点の表記
絶対値を述べる前に、まず座標点の表記の違いに触れたいと思います。
2軸とも実数であった従来のxy座標では、座標点は(3,4)と表現していました。
複素数平面では、数式3+4iがそのまま座標点となります。iがあるかないかで、x座標(実部)かy座標(虚部)か判別できるから、このような表記が可能です。
問題: |3+4i|の値は?
3+4i を複素数平面で表すと、図の点Pになります。絶対値とは、この点Pから原点までの距離を指します。

絶対値を習い始めた頃は、 |-5|=5のように 「単に符号を全てプラスにすればよい」と考えがちですが、絶対値は原点までの距離を指します。
これを明示的に記述すると、以下のようになります。
\( \qquad \qquad \left|-5\right|= \left|-5 - 0\right|\) \( \qquad \qquad \left|3+4i\right|= \left|(3+4i) - (0+0i)\right|\)したがって、最初の問いの答えは次のとおりです。
\( \qquad \qquad \left|3+4i\right|=\sqrt{3^{2}+4^{2}} =5 \)まとめ:複素数平面の "はじめの一歩" を整理する
このブログでは、複素数平面に初めて触れる方を対象に、次の 3 点を整理しました。
- 現行課程では、複素数は 数Ⅱ で、複素数平面は 数C で扱われ、おおむね高 2 後半〜高 3 序盤で学習する
- 複素数平面の 実軸に「実部」、虚軸に「虚部」 をとることで、 a+biという数式がそのまま平面上の1点になる
- 絶対値|a+bi| は符号変換の操作ではなく、原点(0+0i) から点(a+bi) までの距離 である
絶対値が “原点からの距離” という感覚が、複素数平面の問題を解く上で一つの鍵になってきます。
次は「積がなぜ回転なのか」という、複素数平面のもう一段深い話題に進みます。

